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感受性の強さは弱さじゃない。組織で無理をし続けた私が気づいた、自分を守る生き方
「気にしすぎじゃない?」「そんなことで疲れるの?」
そう言われたことがある方へ。もしくは、言われるのが怖くて、本当の気持ちを隠してきた方へ。
自衛官として28年働いた私は、強さと我慢が求められる環境のなかで、自分の繊細さをずっと否定してきました。ある日ふと、「これは甘えではなく、“私の特性”なのかもしれない」と気づいた瞬間がありました。そのとき初めて、張り詰めていた心が少し緩んだのです。
この記事では、HSP気質の自衛官として働いてきた私が、自分を守るためにどう考え方を変えていったのか、その過程をお話しします。
「気にしすぎ」と思われたくない葛藤
自衛隊の現場では、状況判断の早さや上官・周囲の意図を汲み取る力が求められることが多くあります。
私の場合、HSP気質があることで、それを“感じ取りすぎてしまう”。
「声のトーンがいつもと違う」「今日は機嫌が悪そうだな」そんな小さな変化を見逃せず、反応し続けていました。
でも、自衛隊という組織では「気にしすぎるな」「それくらいでへこたれるな」という空気が当たり前。だから、自分の敏感さを言葉にすることはできませんでした。
無視できなかった“感じ取りすぎる自分”
HSPの私は、人の顔色やトーンの違いにすぐ気づきます。注意されたわけでもないのに、「私、何かしたかな?」とよく不安になりました。
雑談の中の沈黙、視線、ちょっとした一言——それだけで1日引きずってしまうこともありました。
自分でも「なぜこんなに疲れるんだろう?」と思っていたけれど、まわりの人はケロッとしている。
その違いに気づいたとき、「もしかしたら、私だけ“感じすぎている”のかもしれない」と思い始めたのです。
HSPという言葉に出会って変わったこと
心と体が限界に達し、休職を選んだ頃。
SNSでたまたま見かけた「HSP」という言葉に目が止まりました。
調べてみると、「感受性が強く、刺激を受けやすい特性」とのこと。まさに自分に当てはまると感じました。
驚いたのは、それが“病気”ではなく“気質”だということ。
誰にでもある特性のひとつであり、それ自体が悪いわけではないという考え方。
このとき初めて、「私はおかしいわけじゃなかったんだ」と、肩の荷が少しだけ降りました。
気質を知ることは、自分を守る第一歩
「みんなができていることが、自分にはつらい」
そう感じたとき、それを「甘え」や「努力不足」と責めるのではなく、「そう感じる自分には理由がある」と認めること。
自分の性質を知って、どうすれば疲れにくくなるか、どうすれば自分を大切にできるかを考える。
それが、私にとって自分を守るための第一歩になりました。
HSP気質は、“ただの敏感すぎる人”ではありません。
細かいことに気づける、丁寧に人と向き合える——それは時に組織にとって大切な「感性」でもあります。
あなたへ伝えたいこと
HSPは甘えではありません。むしろ、その感受性が人を救う力になることもあるのです。
「なんでこんなに疲れるんだろう」そう思ったときは、まず自分の感受性に目を向けてみてください。
「自分は感じやすい気質を持っている」と知るだけでも、心の負担は少し軽くなります。
そして、頼まれごとに即答して何でも引き受けてしまうのではなく、一度立ち止まって「自分が本当にやるべきことか」「今の自分に無理はないか」と問いかける。そうすることで、自分にとって無理のないペースを守りながら、力を注ぐべきことに集中できるようになります。
それができるようになると、働き方も、人間関係も、ずっと生きやすくなっていくはずです。
たとえば、災害派遣や訓練など多忙な時期に、「できるだけ自分がやろう」と無理をしすぎてしまった経験はありませんか? 任務を全うしようと頑張る姿勢は素晴らしいことですが、すべてを一人で抱えることが使命ではありません。 「これは他の人に任せられるかもしれない」「いま自分が引き受けて大丈夫か」と、一度立ち止まって考えることが、結果的に部隊全体を守ることにもつながると私は感じています。
この文章が、あなたの心をそっと守るきっかけになれば嬉しいです。