自衛官は、毎月の給料が安定しています。そのぶん、お金のことを、後回しにしがちです。
この記事は、家計管理シリーズの1本目です。リベ大(両学長)の考え方を参考にして、自衛官の家計に合わせて、まとめていきます。
次のような方に、読んでほしいと思っています。
- 子育て中で、支出が増えてきた方
- 退職が見えてきて、収入が減ることが不安な方
なぜ、投資の前に「家計管理」なのか
リベ大では、お金の力を、「貯める力」「稼ぐ力」「増やす力」「守る力」「使う力」の5つに分けて考えます。そのなかで、最初に身につけたいのが、貯める力、つまり家計管理です。
土台がないまま投資を始めても、生活費が足りなくなって、投資したお金を、取り崩すことになりかねません。投資は、家計に余裕ができてから考えます。NISAやiDeCoについては、自衛官のiDeCo、受け取り方で税額が変わります|退職所得控除の落とし穴で、受け取りの話を書いています。
自衛官の家計は、全体が見えにくい
給料は、毎月決まった日に、決まった額が入ります。ただ、保険料や積立などが、給与から先に差し引かれている場合があります。差し引かれたあとの金額だけを見ていると、お金の全体像がつかみにくくなります。
ボーナスを前提に、年間の支出を組んでいる家庭も多いと思います。月々の収支がぎりぎりでも、ボーナスでなんとかなる。そう感じると、危機感も持ちにくくなります。この点は、「定年が早い」と分かっているのに、お金の準備だけが進まない理由でも、書きました。
見える化は、3つの手順で
手順① 「お金の置き場所」をすべて書き出す
銀行口座、クレジットカード、電子マネー、積立(共済など)、証券口座をすべて書き出します。「どこに、何があるか」が分かるだけで、気持ちが落ち着きます。
ローンや奨学金など、借りているお金も、あわせて書き出します。「いくら貯めているか」と「いくら借りているか」の両方が分かると、家計の全体像がはっきりします。
手順② 「1か月の収入と支出」を出す
支出は、毎月ほぼ同じ「固定費」と、月によって変わる「変動費」に、分けます。最初は、ざっくりで構いません。完璧を目指すと、続きません。
数字を出すときに使うのは、給与明細と、通帳、クレジットカードの明細です。
給与明細では「支給額」と「手取り」の違いに注意してください。支給額から、保険料や積立などが引かれた残りが手取りです。引かれている項目を、一つずつ確認します。
| 固定費の例 | 変動費の例 |
|---|---|
| 住居費(家賃・住宅ローン) | 食費 |
| 保険料 | 日用品 |
| 通信費(スマホ・ネット) | 外食・娯楽 |
| 車(ローン・保険・駐車場) | ガソリン・交通費 |
| サブスク | 衣類・美容 |
まず見るのは、固定費です。固定費は、一度見直すと、その効果が続くためです。変動費は、そのあとで構いません。
手順③ 年に1回の大きな支出を「月に」ならす
保険の年払い、車検、固定資産税、帰省や旅行、子どもの学校関係の費用など、年に1回の支出は、月に直して、考えます。ボーナスがなくても、回るかどうかが見えてきます。
たとえば、年に12万円かかる支出は、月に直すと1万円です。年に1回の支出が重なる月に貯金が減る。そう感じている方は、この手順で原因が見えてきます。
私の方法|家計簿アプリで、家族の口座を一元化
私は、家計簿アプリのマネーフォワード MEを10年ほど使っています。家族の口座やクレジットカード、電子マネーを連携しておくと、入出金を自動で取得し、更新してくれます。手入力の手間はほとんどありません。
無料会員は、連携できる口座の数に上限があります。私は、プレミアムサービスのスタンダードコースを年額プランで契約していて、口座連携の数を気にせず使えています。
※口座連携無制限は、プレミアムサービス スタンダードコースの機能です。最新の内容や料金は、公式サイトで確認してください。
口座をアプリにつなぐときは、パスワードの使い回しをしない、二段階認証やパスキーを設定するなど、自分でできる対策も、忘れずに行ってください。
アプリがなくても、紙のノートや表計算ソフトで、十分に始められます。続けやすい方法を、選んでください。
見える化は、1回で終わりではありません。月に1回、10分だけ数字を見る時間を決めると、変化に気づきやすくなります。毎日見る必要はありません。
見える化して、気づいたこと
アプリで数字にしてみて、次のことに気づきました。
- 夫には小遣いを渡しているのに、クレジットカードで自分のものを購入していて、小遣い以上の額を使っていたこと
- 外食にかかっている金額が、はっきり分かったこと
- 日用品の購入が、思っていたより多かったこと
どれも、数字にして初めて気づけたことです。
夫婦で家計を共有するには
我が家は当初、夫が家計を一緒にすることに消極的でした。ただ、夫が「自分の小遣いがない」と話していたため、小遣いを先に確保したうえで、「お試しで、一括管理させてほしい」と伝えました。
そのお試しがそのまま何年も続いています。
今振り返ると、相手が自由に使えるお金を先に決めたことが、大きかったのかもしれません。
困ったことと、決めたルール
いちばん困ったのは、夫が、小遣いとは別に、クレジットカードで自分のものを買ってしまうことでした。私には小遣いがなかったため、不公平にも感じました。
そこで、次のルールを決めました。
- 自分の趣味のものは、小遣いで買う
- 食材など、家族で使うものは、クレジットカードで買ってもよい
日用品は「在庫の見える化」で
日用品の買い物は、夫が担当することが多くなっていました。値引きシールの付いた商品を、カゴいっぱいに買ってしまうこともありました。「日用品は買わないで」と、何度も伝えましたが、なかなか変わりませんでした。
変わったのは、在庫を一元管理して、見えるようにしてからです。持っている量が分かると、余計な買い物が減り、支出を抑えられました。
言葉で伝えるよりも、数字や在庫を「見える形」にすることが、夫婦の間では効きました。
事例|知人(共働き・子育て中)の家計見直し
いま、知人から家計の相談を受けています。共働きで子育て中のご家庭です。ご本人の了承を得て、個人が特定されないよう、内容は一部ぼかしています。
リベ大の考え方にならって、固定費を、次の順番で、見ていきました。
- 保険
- 住居費
- 車
- 通信費
- 光熱費
保険は、給与明細の天引きの内訳を、一つずつ確認するところから、始めました。
見えてきた課題のひとつは、貯めた生活防衛資金を、折にふれて、取り崩してしまうことです。お金の置き場所と、使い道が分かれていないことが関係しているのかもしれません。
この事例は、現在も進行中です。続きは、シリーズの③と④で書きます。
退職前の方へ|収入が半分以下になる不安
私は退職前、収入が半分以下になることがいちばんの不安でした。
私が不安を抱えすぎずに退職できたのは、「いよいよ家計が苦しくなったら、看護師の資格を活かして働けばいい」と思えたからです。
その後、リベ大で学びながら個人事業を始め、いまは法人の代表を務めています。
資格や経験が、収入の支えになる場合もあります。万一のときに、自分は何で収入を得られるか。それを考えておくことも、備えのひとつです。
収入が減る幅は、人によって違います。ただ、減ったあとの暮らしを考えるためにも、今の支出の全体像を知っておくことが、最初の一歩になります。
退職後の収入は、「再就職で得る収入」「公的年金」「給付金など」に分けて、いつから、いくら入りそうかを書き出してみてください。収入が少ない時期が、いつ来るのかが見えてきます。分からない部分は「分からない」と書いたままで構いません。
退職後の収入の見込みは、所属の人事担当や、援護の担当に確認してください。定年の年齢や、給付金の制度は、変わることがあります。退職前の準備の全体は、自衛官が退職前にやっておくべき5つのことにまとめています。
まとめ
- 家計管理は、投資の前の土台です。
- 見える化は、「置き場所」「収支」「年1回の支出」の3手順で進めます。
- 完璧にする必要はありません。まず、1つ書き出してみてください。
次回は、固定費の最初の一歩として、保険の見直しについて書きます。
※本記事は、2026年10月時点の情報をもとにした、一般的な内容です。個別の判断は、専門家や、防衛省・所属の部隊などの公式の窓口で、最新の内容をご確認ください。